データの経済性が破綻した時代におけるデータ駆動型の推進とは

データの経済性が破綻した時代におけるデータ駆動型の推進とは

1970年にIBMのサイエンティストがリレーショナルデータベースを発明したことで、データ使用方法の本質が完全に変わりました。このとき初めて、ビジネスユーザーがデータに簡単にアクセスできるようになったのです。企業は、意思決定と成長を促進するためにデータの力を引き出して活用する時代に入りました。それから48年が過ぎ、2018年の現在、世界をリードする企業において共通することが一つあります。彼らはみな極めてデータ駆動型であるということです。

金融から小売、医療に至るまで、あらゆる業界において、データにはあらゆる活動を変革する力が潜んでいるという事実が認識されるに至りました。成功している企業は、データを最大限に活用して顧客体験を強化し、物流を改善し、将来の意思決定のために価値あるビジネスインテリジェンスを導き出しています。しかし今、私たちは重大な節目に差しかかっています。データは年を追うごとに倍増しており、今後48年で利用可能になるデータボリュームは、歴史上類を見ない状況をもたらすと考えられます。

ここでは、現在の転換期を招いたさまざまな事象を振り返り、このイノベーションを(妥当なコストで)活用する方法について検討していきます。

データ駆動の現況

現在、データの「破壊的威力」を活用する好機が訪れています。驚くほど低コストのセンサー、ユビキタスネットワーキング、クラウドでの安価な処理、ダイナミックコンピューティングリソースによって、データボリュームが増えるだけではなく、このデータボリュームを企業で生かす必要性も高まっています。リアルタイム処理が可能となり、また、セルフサービスの利用者は毎年3倍の勢いで増加しています。新しく登場した機械学習とコグニティブコンピューティングにより、データがもつ可能性がまったく新しい段階に移りました。

機械学習とコグニティブコンピューティングを使用することで、かつてない規模のデータを扱うことが可能になり、人知では到達できなかった相関関係も発見できます。まったく革新的な方法でデータを使用できることがわかれば、可能性の無限の広がりを実感できます。理論的にはすべての企業がデータ駆動型であることが求められます。しかし、現実には、データの活用を困難に思わせる障害がいくつかあります。

予算が増えず、レガシーサイクルに閉じ込められる

データの「破壊的威力」がもたらす一連の要件は、ほとんどのIT部門の能力をはるかに超えています。予算は横ばいで年率4.5%しか増加せず、利用可能なテクノロジーのオプションとベンダーが制約されます。これは、「レガシーサイクル」の中で立ち往生している現状を表しています。多くのITチームは、既存の活動を維持するために予算の大部分を費やし、残りをモダナイゼーションやイノベーションに充てています。しかし、現在の「先端的」な取り組みも数年後にはすべてレガシーとなり、再びその維持に追われることとなり、このサイクルが繰り返されていきます。これが、過去20年間にわたって私たちが経験してきた問題のサイクルです。

データの品質とアクセス性の欠如

企業データの大部分には、正確性、一貫性、アクセス性などに問題があり、このために企業はデータの価値を引き出せない状況にいます。ハーバードビジネスレビュー誌の調査によると、調査対象データのうち、品質が「許容される」レベルのデータはわずか3%でした。そのためにデータアナリストは、本来のタスクであるアナリティクスではなく、データプレパレーションに80%の時間を費やしています。必要なデータへのアクセス性だけでなく、データの品質も保証できないのであれば、データの価値を活用することは不可能です。

データに対する脅威の拡大

データの持つ威力は、データの悪用によって引き起こされる脅威にもつながります。ハッキングやセキュリティ侵害が増加し、サイバー犯罪によって全世界が被る損失は、2015年の3兆ドルから倍増して、2021年には6兆ドルに達すると予想されています。脅威の拡大に対処すべく、セキュリティやプライバシーの規制も増加しています。データ整合性の問題を受けて、データの正確性と安全性を確認し、このデータ革命の中でもデータのセキュリティを確保する方法を見つけることに関心が向けられています。

ベンダー間の激しい競争

ソフトウェア業界全体が根本から変わりつつある中、クラウドをめぐる競争が繰り広げられています。企業に求められているのは、今日のイノベーションを最大限に活用することです。また、ベンダーを選択する際も、短期的な観点だけでなく、中長期的な観点から、データの活用を促進できる態勢を整えているかどうかを重視すべきです。

データディスラプター(破壊者)とは

このイノベーションを低コストで活用することは不可能に思えるかもしれません。しかし、このデータ駆動型のトランスフォーメーションの最中でも目覚ましい成功を実現している企業があります。これらの企業がほかと一線を画しているのは、この変化を受け入れるために、既存の価値基準を打ち砕く、根本的に新しい経済的な手法を発見した点です。

データディスラプターは、実際には名前から連想されるような過激な戦略をとっているのではありません。同じ予算でデータをさらに活用する方法を見つけているのです。データディスラプターにとっての成功は、レガシーアーキテクチャーに予算をもっと投入することでもたらされることはありません。基盤インフラストラクチャからのデータの解放を可能にする、最新データアーキテクチャーを利用するのです。

データのさらなる活用

適切なデータを迅速に活用できる組織には、競争優位性があります。ハイブリッド、マルチクラウド、リアルタイム、機械学習に牽引される今日の世界で、先端テクノロジーがデータを解放し、成功を実現可能にします。ここで押さえておくべき3つの重要なイノベーションについて、以下に説明します。

  • クラウドコンピューティング:クラウドは、それまで実現不可能と考えられていたレベルの効率性とコスト削減を実現しました。クラウドストレージはリモートで動作し、必要な容量だけを提供できるようにサイズが変動します。オンプレミスサーバーの保守にかかる時間とコストが不要になり、ビジネスユーザーはいつでも、どこからでも、リアルタイムのセルフサービスでデータを使用できます。ハンドコーディングも一切不要なため、IT部門の支援を受けずに、任意のSaaSとオンプレミスアプリケーションの統合をクラウドで作成できます。クラウドは、オンプレミスではかなわないコスト、能力、生産性の向上を実現します。データディスラプターはすでに爆発的な規模のデータボリュームをクラウドに委ねています。
  • コンテナー:コンテナーは急速に成長し、仮想マシンを追い抜こうとしています。最近の調査によると、アプリケーションコンテナーの採用は2020年まで年率40%で拡大していくと予想されます。仮想マシンを使用する場合は、ハードウェアとオペレーティングシステム(OS)を完備して管理する必要があるため、諸経費がかかりメンテナンスの時間も必要です。一方、移植性に優れたコンテナーには不確定要素がほとんどなく、わずかな保守が必要とされるだけです。コンテナーのスタックレイヤーを使用する企業では、コストはOSとハードウェア上のコンテナーがスタックされた部分にのみかかります。これによって、データディスラプターは運用上の無限の可能性と大幅なコスト削減効果を実現できます。
  • サーバーレスコンピューティング:ビッグデータテクノロジーは、展開と管理が複雑化したりコストが増大したりすることがあります。また、必要な専門知識を持つ人材の確保も困難です。ガートナー社の調査でも述べられているように、「サーバーレスのPaaS(Platform-as-a-Service)には、クラウドサービスの効率と俊敏性を向上させ、クラウドを初めて導入する際のコストを削減し、ITのモダナイゼーションを加速する可能性がある」のです。

サーバーレスコンピューティングによって、ユーザーは基盤システムやアプリケーションインフラストラクチャのプロビジョニングや管理を必要とせずにコードを実行できます。代わりにシステムは、利用可能なデータに伴って増減するオンデマンドのワークロードに対応するよう、規模を自動調整します。

サーバーレスコンピューティングは、依然としてサーバーを必要とするので、現実には「サーバーレス」ではありません。とは言え、コストが発生するのは実際に使用されるサーバー容量のみです。どのようなときも実行した分に課金されるだけなので、オンプレミスサーバーを使用する場合の無駄なコストを排除できます。問題に対処するために必要なだけスケールアップして実行し、その後は再びスケールダウンしてオフになります。将来はサーバーレスが主流となり、サーバーレスによってデータが解放される可能性は無限に広がります。

データディスラプターに仲間入りする

今や、レガシーの罠からデータを解放し、データの可能性をビジネスによって最大化できるように行動すべき時です。データボリュームの増大を前に、データディスラプターはクラウドベースの最新テクノロジーが持つ潜在性を認識しています。ビジネスチームとITチームは協力体制の下でともに行動し、課題に対処するエンドツーエンドのソリューションを見つけ、同時にセキュリティとコンプライアンスも確保しています。このイノベーションを活用し、既存の価値基準を打ち砕いた新しいデータ経済性を作り出すことで、データの潮流に効率的に乗ることができるのです。

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