マスターデータ管理とは?

マスターデータ管理(MDM)は、一貫性のある「真の」最新データ(「ゴールデンレコード」とも呼ばれます)を常に使用し、これに基づいて意思決定を行うことを確実にするプロセスです。

単純なことのようですが、データストリームが溢れる現代のビジネス環境においては、マスターデータ管理は、最も複雑なビジネスの課題の1つとなることがあります。さまざまなソースからのデータを取り込み、それを検証済みのリアルタイムの情報を提供するための単一の不変で信頼できるソースとして提示するには、ノウハウ、ツール、そしてしばしば戦略的パートナーシップの組み合わせが必要とされます。

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マスターデータ管理の6つのメリット

デジタル化の進展とクラウドテクノロジーの急増に伴い、データ管理がCIOの最重要懸案事項になっています。トランザクション中の処理はほとんど認識できないため、背景データの追跡、ソート、検証は困難な作業になりかねません。しかし、効果的に管理されたMDMには、以下に紹介する6つの実質的なメリットがあります。

1. 運用コストを削減

ビジネスで、データを生み出し消費するあらゆる面を考慮してください。

  • すべてのアプリケーションとその依存関係
  • 本番から人事までの、従業員によるすべての操作
  • ホットデータ(使用中)やコールドデータ(アーカイブ)を含むデータストア
  • 在庫スケジュールと注文プロトコル
  • その他

これらのソースからのデータの一貫性(真正性)にゆらぎがあると、関連するすべての情報に連鎖的な
影響を及ぼし、すぐに運用コストに影響を与え、組織のビジネスを危険にさらす可能性があります。多くの場合に、これは最初の予想以上に大きな問題となります。ある調査では、以下の事実が明らかになっています。

  • 最低限の基準を使用しても、「許容可能」と評価されるデータクオリティスコアの割合は3%しかありません。
  • 平均では、新しく作成されたデータレコードの47%に、少なくとも1つの重大な(例えば作業に影響を及ぼすような)エラーが含まれています。

データが信頼できる最新のものであれば、状況はまったく逆になります。

2. 冗長性の排除によりアーキテクチャーの膨張を緩和

MDMが収益に与える影響は、ビジネスの損失を抑制することだけではありません。オンサイト、ハイブリッド、クラウドベースのいずれの場合でも、ネットワークアーキテクチャーの実行とサポートのコストには、使用されるリソース(ストレージ領域、処理時間、ネットワークスループットなど)の量が直接影響します。

データピクチャーを信頼できる単一のリポジトリにまとめることで、個々のソースが独自のリソースを維持しなくても済むようになり、IT運用コストを大幅に削減できます。

3. 迅速なデリバリー

MDMは、継続的デリバリー、DevOps、Rugged DevOpsなど、共有/信頼されるデータを必要とする設計アーキテクチャーを使用する最新の開発アプローチの中核を成します。

信頼性の高いMDMデータリポジトリを開発チームに供給することで、アプリケーションと改良がデリバリーパイプラインを通過する速度が格段に上がります。これは、MDMの発見を、拡張レビューと再コーディングのプロセスを経た後ではなく、即座にソフトウェアで活用できることを意味します。

4. コンプライアンスを簡素化

現代のデジタルビジネスにおいては、コンプライアンスが大きな課題です。HIPAAPCICIPAGDPRといった規制や、さらなる規制の枠組みによって、コンプライアンスの要件が急速に変化しています。コンプライアンスだけでも全力投球で臨む必要のある場合があり、その状況は特に大企業で顕著です。

MDMは、検証可能で安全なデータ統合のためのすべての基準を満たすことで、必須であるコンプライアンスレポートとオーディエンスの負担を軽減しています。

5. 顧客サービスを改善

「時は金なり」と言われますが、現代のビジネスのスピードで動くデジタルの世界では、とりわけオーディエンスの時間について、今まで以上にこの諺が当てはまります。MDMは、最初のアプリケーションとのやりとりから出荷、配送、フィードバックまで、取引のプロセスのあらゆる段階で顧客と対話し、リアルタイムのフィードバックに基づいてパフォーマンスを向上させるうえで、製品提供に影響を与える不一致やエラーを排除することにより、今までは得ることができなかった機会を提供します。

6. 360° のビュー

最新のクラウドベースのMDMプロセスは、各顧客の完全なリアルタイムビューを作成します。マーケティング担当者は、MDMが作成する「ゴールデンレコード」を活用することで、Amazon.comで顧客が購入した商品や検討中の商品についての最新情報をWebパーソナライゼーションやプロンプトに活用できます。

7. 実用的なビジネスインテリジェンス

意思決定者は、すべての事業運営の明確かつ最新の全体像を作成することで、問題を詳細に確認したり、国内のトレンドや世界的なトレンドがビジネスにどのような影響を及ぼしているかを俯瞰したりできます。

データはデジタル環境の基盤であり、支えであるため、MDMはあらゆる環境に対してデータそのものと同様に計り知れない影響を与えます。最新テクノロジーとして、この状況が日常的に表れているのは、クラウドにおけるMDMの課題に対する組織の取り組みです。

クラウドにおけるマスターデータ管理:4つの主要課題

クラウドによって無数の機会がもたらされていますが、同様に多くの落とし穴が、パブリック/ハイブリッドクラウド環境でのマスターデータ管理で発生する可能性があります。早期に取り組むべき4つの重大な課題があります。計画を怠ることは計画的に失敗するのとほとんど同義であることを忘れてはなりません。

  1. 多様なデータタイプを考慮する。顧客のエンゲージメントを維持するために使用される(仮想および物理の)すべてのデバイスでは、単独でMDMに十分なデータストレージタイプはありません。管理ツールは、構造化データにも非構造化データにも対応するために十分な柔軟性を持つ必要があります。
  2. セキュリティ! 現代のデジタル環境においては、何を置いても常にセキュリティが最重要事項となります。MDMのメリットが、組織の運営基盤となる、一貫性のある一元的ソースからもたらされるものであれば、ソースをターゲットとするリスクと脅威によって活動が停止させられる可能性もあることになります。セキュリティを最優先させないMDMソリューションによって、ハッキング、マルウェア、さらにはサイバー攻撃による身代金要求といった脅威が引き起される可能性があります。
  3. ガバナンス。MDMが大きな潜在力を発揮すれば、それを管理する責任も同様に大きなものとなります。MDMソリューションを提示するために使用される多くの相互作用は、バックグラウンドで自動的に行われますが、データの重み付けやビジネスインテリジェンスの解釈はビジネスリーダーが決定する必要があります。適切なガバナンスのアプローチによって、データの範囲だけでなく、誰がそれを保持/解釈するかも体系化されます。これが、一貫性のある一元的な真実のソースを持つことと、それを強力に活用することの違いです。
  4. 専門知識。多くの組織が直面している最大のMDMの課題は、経験と習得の熱意を適切に組み合わせることです。クラウドのMDMは新しい分野であるため、ほとんどの中堅・中小企業には、ニーズに合わせてカスタマイズされた総合的なソリューションを作成するための人材が不足しています。社内の人材開発を行うかアウトソーシングするかについては、早い段階で決定する必要があります。

これらの課題を念頭に置いて、以下に紹介する典型的なアーキテクチャーの中から、個々のニーズに最も適したものを検討する必要があります。同様に、予算も考慮しなければなりません。

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マスターデータアーキテクチャーの4つのスタイル

あらゆるニーズに対応できる単一のMDM戦略はありません。マスターデータリポジトリーの管理とガバナンスでは、柔軟でカスタマイズ可能なアプローチをとることがメリットとなります。ただし、最初に採用するMDMデザインとしては、以下の4つのアーキテクチャーが一般的です。

1. レジストリー型MDM

このアプローチでは、MDMは、データのソース、現在の場所などを記述する省略レコード(「スタブ」)を使用します。レジストリーは、スタブを作業リポジトリーに統合する代わりに、MDMツールで実際に扱われるデータの量を最小限に抑えるため、最も高速で最もコストのかからない方法で展開できるアーキテクチャーです。

レジストリー型の欠点は、マスターレコードを収集してリモートデバイスの情報と比較することに伴いレイテンシーが大きくなる点です。さらに、レジストリー型は一方向の収集であり、マスターレベルで行われた変更はリモートソースに伝播されないため、マスターとリモートの間に矛盾が生じます。

2. 統合型MDM

統合型アーキテクチャーはレジストリー型に似ていますが、実際にはソースからマスターリポジトリーにデータを移動します。

このアプローチは、レイテンシーが予想される環境で一般的であり、統合は通常スケジュールされたバッチプロセスの時間内に行われます。ただし、レジストリー型と同様に、マスターリポジトリーのデータはダウンストリームソースと同期されません。

3. 共存型MDM

このアーキテクチャーのアプローチは、統合型MDMをさらに進め、マスターデータをソースに同期させるという重要なステップを追加します。これによって、プライムレポジトリーと個々のシステムレベルの両方で「共存」するマスターレコードを作成します。

これはより複雑なアプローチであり、データを収集し、個別のバッチプロセスを介して下流へと再び拡散させる必要があるために、レイテンシーが大きくなります。このアーキテクチャーは、一定期間ごとにマスターデータを複数回同期させる余裕のある小規模/中規模の企業に共通しています。

4. トランザクション型MDM

トランザクション型MDMは、アーキテクチャーのアプローチとして最も完全なオプションですが、同時にオーバーヘッドの面で最もコストがかかります。マスターデータは、ソースからマスターリポジトリーに移行されて処理/クレンジング/標準化された後、ソースに戻されます。

このスタイルには、マスターとソースの間での直接的な調整によってレイテンシーを小さくし、全社的にデータガバナンスルールを適用できるというメリットがあります。しかし、適切なフローを確保し、欠陥のあるデータが環境全体に伝播するのを防ぐために、高度な専門知識とカスタムコーディングに適したツールが必要です。

1つのMDMアーキテクチャーを採用した組織が、続いて別のMDMアーキテクチャーに変更することは珍しいことではありません。MDMの構築の成功を評価する指標となるのは、マスターデータを移動して格納するうえでの効率、スピード、一貫性です。

マスターデータ管理とサービス指向アーキテクチャー

クラウドにおけるMDMの新たな重要性と威力は、サービス指向アーキテクチャー(SOA)との相互運用性によってもたらされます。インフラストラクチャーを含むほぼすべてが仮想化される状況においては、データの不一致または破損によって甚大なコストが発生しかねません。IaaS(Internet-as-a-Service)を含むSOAを提供するMDMは、一貫性のある単一の真実のソースに基づき、企業全体の変更の一貫性をほぼリアルタイムで達成します。

SOAにおけるMDMの重要課題は、リモートシステム、サービス、ソフトウェアのリポジトリーとホスト間でデータ構造とルールを標準化するデータガバナンスのアプローチです。異なるシステム間でデータを交換/上書きするための作業プロトコルを調整することは、既存のITスタッフにとって困難な課題となります。信頼できるエキスパートと提携することで、MDMのピクチャーが簡素化されます。

MDMを活用して次のステップに進む

日を追うごとに、クラウドのMDMによってビジネスのスピードと到達範囲が変化しています。マスターデータ管理ソリューションを実現することで、提供された製品とユーザーの間の隙間をニアリアルタイムで埋めることができ、現代のビジネス世界に反応/応答できる有機的なデータ環境が実現します。

MDMの詳細を確認し、今すぐに活用しましょう。

| 最終更新日時: January 28th, 2019